社員の発信を禁止すると、リスクは残って利益だけ消えます
禁止しても発信は止まりません。鍵アカウントや匿名に移るだけです。会社は内容を把握できなくなり、採用で使えたはずの材料だけが消えます。
- 社員が個人アカウントで会社の話をしていて、止めるべきか迷っている
- 会社の公式アカウントを作ったが、ほとんど読まれていない
- 社員に発信を頼んだら、会社の宣伝のような文章になった
1つ目は禁止しない、2つ目は役割を絞る、3つ目は会社が文章を用意しない。それだけです。
Xは会社の公式アカウントより社員個人の発信のほうが採用に効く。理由は、求職者が知りたいのが会社の主張ではなく働いている人の実感だからだ。だから管理の方法は「禁止」ではなく「範囲の明示」になる。禁止すると発信は鍵アカウントや匿名に移るだけで、リスクは下がらず会社の利益だけが消える。書いてよい範囲は3行で決まり、会社アカウントには募集要項の一次情報と社員投稿の受け止めという2つの役割が残る。
- Xでは会社アカウントより社員個人の発信が効く
- 禁止しても発信は止まらない。匿名に移るだけでリスクは残る
- 範囲は3行で決まる。未公表情報・顧客特定・他者評価の禁止
- 会社アカウントの役割は募集要項の一次情報と、社員投稿の受け止め
Xの採用活用について相談を受けると、最初に出てくるのは「会社アカウントで何を投稿すればいいか」です。
順番が違います。Xで先に決めるべきなのは、社員個人の発信をどこまで許すかです。
理由は単純で、Xでは会社の言葉がほとんど読まれないからです。求職者がXで読みたいのは会社の主張ではなく、そこで働いている人の実感です。
そして「禁止する」は、いちばん損な選択になります。
Xでは、会社の言葉が読まれない
Z世代のX利用率は66.8%(出典1)。数字としては高いのですが、業界研究で使われる割合は他のSNSより低く出ます。Xは「会社を調べる場所」ではなく「人の話を読む場所」だからです。
求職者がXで読みたいのは、会社の主張ではなく、そこで働いている人の実感です。したがって、Xの採用活用における主役は会社アカウントではなく、社員個人のアカウントになります。これは運用上の判断で、調査で証明された数字ではありません。ただし、会社アカウントの投稿が読まれない現象は広く観察されています。
ここから、Xの論点は自動的に「管理」の話になります。
Xの利用率は66.8%と高い一方で、業界研究の調査では上位に出てきません。Xは「会社を調べる場所」ではなく「人の話を読む場所」です。
出典(サイバーエージェント次世代生活研究所)
禁止は、いちばん損な選択
社員の発信を禁止すると、次のことが起きます。
| 禁止した結果 | 実際に起きること |
|---|---|
| 発信が止まる(期待) | 止まらない。鍵アカウントや匿名アカウントに移る |
| リスクが下がる(期待) | 下がらない。会社が把握できなくなる分、悪化する |
| 統制が効く(期待) | 効かない。規程に反する発信は隠れて続く |
| — | 採用で使えたはずの材料だけが消える |
見えない場所に移るだけです。リスクは残り、利益だけが消えます。
範囲は3行で決まる
長い規程は読まれません。3行にしてください。
② 顧客が特定できる情報を書かない(写真の背景・予約内容・会話の引用)
③ 他社・他者を評価しない(比較・批判・順位付け)
この3つを外れなければ、あとは自由でよい。「会社の良いところを書いてください」を入れないのが要点です。 入れた瞬間に宣伝になり、読まれなくなります。
- ガイドラインを、入社時ではなく「発信を始めた人に」個別で渡す
- 会社アカウントから、社員の投稿を引用して補足する(承認の意思表示になる)
- 迷ったときに聞ける相手を1名決めて名前で伝える(「広報まで」ではなく実名)
- 問題のある投稿を見つけたら、公開の場で指摘しない(個別に伝える)
- 退職した社員の過去投稿を削除させない(できないし、やろうとすると悪化する)
いちばん多い事故は、会社が社員の投稿を公開の場で訂正・注意することです。やり取りが第三者に見えている状態で指摘すると、それ自体が「風通しの悪い会社」の証拠として読まれます。指摘は必ず個別に、記録の残る形で行ってください。
何を書いてもらうと採用に効くか
指示はしないが、話題の例を渡すのは有効です。読まれるのは、うまくいかなかった話です。
- 失敗して学んだこと(具体的に)
- 仕事の細部(工程・道具・判断の理由)
- 入社前に思っていたことと違った点
- 他部署の人がやっている地味な仕事
- 会社の受賞・実績の告知
- 「良い会社です」という総評
- 会社が用意した文章の転載
- 飲み会・イベントの写真だけ
会社アカウントに残る2つの役割
社員が主役でも、会社アカウントは要ります。ただし役割は2つだけです。
発信する社員がいない場合
無理に始めさせないでください。義務で書かれた文章は、読めば分かります。 逆効果になります。
この場合、Xは使わずにYouTubeとInstagramへ寄せる判断が正しい。媒体は、社内にある材料で決めてください。 流行で決めると続きません。
まとめ
- Xでは会社の言葉より、社員個人の発信が読まれる
- 禁止は最も損。発信は匿名に移り、リスクは残って利益だけ消える
- 範囲は3行。未公表情報・顧客特定・他者評価をしない
- 「良いところを書いて」は入れない。宣伝になった瞬間に読まれない
- 指摘は必ず個別に。公開の場での訂正は会社の評判を落とす
- 会社アカウントの役割は、募集要項の一次情報と社員投稿の受け止め
- 発信する社員がいなければXは使わない。材料で媒体を決める
炎上を防ぐ運用全体は、関連記事にまとめています。
よくある質問
社員の個人アカウントでの発信は禁止すべきですか。
社員に発信を頼むと、会社の宣伝みたいになりませんか。
会社の公式アカウントは要らないのですか。
発信してくれる社員がいません。
- Z世代のSNS利用率(サイバーエージェント次世代生活研究所) https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=32772
- 採用関連のSNS炎上と運用上の注意点(AdverTimes/PRESNS) https://presns.jp/column/sns-saiyo-tyuuiten/
- 企業のSNSリスクと運用体制(NTTドコモビジネスX) https://www.nttcoms.com/service/social/column/sns-risk/