TikTok採用の分かれ目は「他社の当たった型を使わない」ことです

TikTokの価値は再生数ではありません。転職を探していない人の画面に勝手に出ることです。ただし表示される文脈は娯楽寄りなので、他社の型を持ち込むと本業に跳ね返ります。

Key figure
11.3% TikTokを業界研究に使う割合は11.3%。利用率は52.8%あるので、TikTokは「調べる場所」ではなく「知る場所」。役割を混同すると媒体選びを間違える。
出典:出典2
こんな状態なら、この記事です
  • 若い人に届けたいが、TikTokは不安で止まっている
  • 他社の当たっている動画を見たが、自社でやると明らかに浮く
  • 「中の人」の個性で伸びていて、その人が辞めたら終わると気づいた

3つとも、企画の作り方で解けます。媒体の向き不向きの話ではありません。

01
自社がTikTok採用に向いているかを5つの質問で判定できる
02
最初の30日でやること・やらないことが決まる
03
ブランドを崩さずに続けるための企画の作り方が分かる
結論だけ先に

TikTokは、転職や就職を探していない層にも届く点で求人媒体と根本的に違う。一方で表示される文脈が娯楽寄りなので、他社の当たった型を真似すると自社のブランドと衝突する。向くのは「働く様子そのものが映像として成立する」業種で、向かないのは「オフィスで画面を見ている時間が長い」業種だ。最初の30日は投稿本数を追わず、プロフィールと固定表示、そして炎上の禁止事項の文書化に使う。

  • TikTokの価値は「探していない人に届く」こと。媒体とは役割が違う
  • 向く/向かないは業種で決まる。手仕事が映る業種は圧倒的に有利
  • 他社の当たった型を真似しない。文脈が娯楽寄りなのでブランドと衝突する
  • 最初の30日は本数を追わない。プロフィール・固定表示・禁止事項の3つ

TikTok採用の話には、2種類の結末が並んで存在します。

「応募が数倍になった」という報告があり、同時に「出したあとで既存客から違和感を持たれた」という失敗があります。どちらも本当です。

分かれ目は、はっきりしています。他社で当たっている型を、そのまま持ち込んだかどうかです。

TikTokで伸びている採用動画の多くは、砕けた表現や社内の悪ノリで成立しています。それが合う会社と、合わない会社があります。合わない会社が真似すると、応募が増えても本業の単価が落ちます。

TikTokが他の媒体と決定的に違う点

求人媒体は「探している人」に見つけてもらう仕組みです。検索されて、初めて存在します。

TikTokは逆です。探していない人の画面に、勝手に出ます。 これが唯一かつ最大の価値です。

要点

いま転職を考えていない人に届くということは、採用の母集団そのものを広げられるということです。求人媒体をどれだけ強化しても、探していない人には届きません。TikTokに投資する理由はここにあります。再生数ではありません。

数字も押さえておきます。Z世代のTikTok利用率は52.8%、そのうち「業界研究」に使っているのは11.3%です(出典2)。一方で、就職活動の情報収集にTikTokを使う層が約6割という調査もあります(出典1・要確認)。利用率と、会社を調べるのに使う率は別だという前提で読んでください。

52.8%

Z世代のTikTok利用率

共有用データ ①-7

11.3%

「業界研究」にTikTokを使う割合

出典2

約6

就職活動の情報収集にTikTokを使う層

出典1(★要確認)

つまり、TikTokは「調べる場所」ではなく「知る場所」です。役割はここに限定されます。

向いている会社/向いていない会社

判定は5つの質問で終わります。3つ以上「はい」なら向いています。

TikTok採用の向き不向き判定
  • 働いている様子が、言葉なしで映像として成立するか
  • 手仕事・道具・設備・体の動きが業務の中心にあるか
  • 採用したい層に20代前半が含まれるか
  • 顔出しできる社員が2名以上いるか(または手元だけで成立するか)
  • 撮影できる場所に顧客がいない時間帯があるか
向いている
  • 飲食・宿泊(調理・客室整備・バックヤード)
  • 美容・理容(技術のクローズアップ)
  • 建設・整備・製造(工程と道具)
  • 物流・小売(体の動きと現場)
向いていない
  • 業務の中心が画面作業(映るものが乏しい)
  • 採用対象が30代後半以上に偏る
  • 顧客の秘匿性が高く撮影範囲がない
  • 格式が価格を支え、砕けた表現が使えない業態

4番目の「格式が価格を支える業態」は、向いていないのではなく、作り方が違います。 高級ホテルや高単価サロンでも、TikTokで採用は動きます。ただし他社が当たっている型(悪ノリ・自虐・流行の音)は使えません。手仕事と静けさで成立させる設計が必要になります。

最初の30日でやること

本数を追わないでください。 30日で投稿するのは4本で十分です。

1〜7日目:禁止事項を1枚にする
流行の型のうち自社では使わないもの、撮らない場所、出さない情報を10行以内で書きます。TikTokは判断の回数が多い媒体なので、ここを飛ばすと必ず現場が止まります。
8〜14日目:プロフィールと導線を作り切る
1行目で何の会社かが分かること、勤務地が書いてあること、リンクが求人ページに1タップで着くこと。ここが未整備のまま動画を出すと、興味を持った人が応募まで到達しません。
15〜21日目:まとめ撮りで4本撮る
「1日の流れ」「入社1年目の仕事」「よく聞かれる質問への回答」「手仕事のクローズアップ」。半日で撮り切ります。台本は作りません。
22〜30日目:週1本で出し、遷移だけ見る
見るのはプロフィールへの遷移と求人ページへの遷移だけです。再生数は記録するが目標にしません。この段階で伸びなくても正常です。
始める前に押さえる3つの数字

5

向き不向きの判定。3つ以上「はい」なら向いている

carasu の整理

4

最初の30日に出す本数。本数は追わない

20万円〜

運用代行の月額の目安

出典3(二次情報)

やってはいけないこと5つ

注意

以下はいずれも「短期的には数字が出て、後で高くつく」型です。担当者が善意でやってしまうため、あらかじめ禁止事項に入れておく必要があります。

# やってはいけないこと 何が起きるか
1 流行の型に自社を合わせる 社風と関係のない内容になり、入社後に「話が違う」が起きる
2 「中の人」の個性で伸ばす その人が辞めた瞬間にアカウントの価値が消える
3 給与や待遇を強調して伸ばす 条件だけで来た応募者が集まり、条件で辞める
4 他社・他業界を下げて差別化する 短期で伸びるが、既存顧客と取引先の目に入る
5 コメント欄を放置する 荒れた状態が求職者の判断材料になる

2番が最も見落とされます。 採用アカウントを人の魅力で伸ばすと、成果はその人の資産になり、会社には残りません。会社の資産にするには、「誰が出ても成立する型」で作る必要があります。 具体的には、人ではなく仕事・道具・工程を主役にします。

人で伸ばしたアカウントは、その人と一緒に辞めます。
仕事で伸ばしたアカウントは、会社に残ります。

外注する場合の見方

TikTok運用の代行は月20万円台からの提示が多く見られます(出典3)。判断するときは、提案書の中の約束している指標を見てください。

確認する
  • ブランドを崩さない基準が言語化されているか
  • 撮影の頻度と現場の拘束時間
  • 素材の権利が自社に残るか
  • 解約後もアカウントを運用できる引き継ぎがあるか
判断材料にしない
  • 他社事例の再生数
  • フォロワー数の保証
  • 投稿本数の多さ
  • 「バズらせます」という表現

まとめ

  • TikTokの価値は「探していない人に届く」こと。母集団そのものを広げられる
  • 向くのは働く様子が映像として成立する業種。画面作業中心の業種は他媒体へ
  • 格式が価格を支える業態でも使えるが、他社の当たった型は使えない
  • 最初の30日は本数ではなく、禁止事項・プロフィール・4本のまとめ撮り
  • 人で伸ばさない。仕事・道具・工程を主役にする

崩さない設計の全体像は、柱記事にまとめています。

よくある質問

TikTok採用のデメリットは何ですか。
4つあります。①表示される文脈が娯楽寄りなので、ブランドの見え方を設計しないと本業の印象に影響する。②「中の人」の個性に依存すると、その人の退職で資産が消える。③再生数と応募数は連動しないため、伸びているのに採らせられないことがある。④動画1本ごとに拡散するので、炎上したときの範囲が読めない。いずれも設計で下げられますが、放置すると全部起きます。
どんな会社が向いていますか。
働く様子そのものが映像として成立する業種です。飲食・宿泊・美容・建設・整備・製造・物流・小売などが該当します。逆に、オフィスで画面に向かう時間が長い業種は素材が乏しく、無理に企画を立てると社風と関係のない内容になります。この場合はTikTokより、YouTubeやInstagramのほうが向いています。
再生数はどのくらい必要ですか。
採用目的では再生数を目標にしないでください。1万回再生されて応募ゼロの動画と、800回再生で1人採用できた動画では、後者が正解です。追うべきは、プロフィールへの遷移と求人ページへの遷移です。加えて、面談で「TikTokを見ました」と言われた件数を手作業で記録してください。
他社の当たっている動画を参考にしていいですか。
構成の参考にはしてよいですが、トーンは真似しないでください。TikTokで当たっている採用動画は、多くが砕けた表現や社内の悪ノリで成立しています。それが合う会社と合わない会社があり、格が客単価を支えている業態では本業に跳ね返ります。参考にするのは「冒頭2秒で何を見せているか」の構造だけにしてください。
Sources 出典
  1. TikTokで就職活動の情報収集をする割合(TORIHADA調査/マナミナ) https://manamina.valuesccg.com/articles/3736(二次情報。調査対象とn数を一次で確認のうえ使用)
  2. 業界研究に使うSNSの利用率(トガル株式会社) https://togaru.co.jp/contents/2662/
  3. TikTok採用の事例と運用代行の相場(StockSun/起業LOG) https://stock-sun.com/column/sns-recruitment-agency/(二次情報。応募数の増加事例は各社の自社発表に基づく)
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