3か月で止まるのは、1人に4役を乗せているから

採用SNSでいちばん多い失敗は炎上ではありません。止まることです。そして原因を「担当者のやる気」に置くと、人を替えてもまた止まります。

Key figure
45% 投稿1本にかかる工数のうち、もっとも重いのが編集で約45%。ここを内製すると、企画と現場調整の時間が消える。編集は最初に外へ出す工程。
出典:運用上の目安(サンプルデータ)。調査値ではありません
こんな状態なら、この記事です
  • 最初の1か月は出せたが、2か月目から投稿の間隔が空いてきた
  • 毎回「次は何を撮るか」の会議から始まっている
  • 現場に撮影を頼んでも、やわらかく断られる

3つとも、担当者の能力ではなく仕事の割り方の問題です。

01
止まる原因が3つの構造として特定できる
02
ネタの型15個で「何を撮るか」の会議がなくなる
03
現場に断られない依頼の形が分かる
結論だけ先に

採用SNSの最頻の失敗は炎上ではなく停止だ。原因は担当者の意欲ではなく、1人が企画・撮影・編集・判断を全部持つ構造にある。解き方は3つ。役割を「決める/集める/作る」に分割する、ネタを型として先に15個決めておく、撮影を月1回のまとめ撮りに集約する。現場への依頼は「協力してください」ではなく、日時・場所・所要時間・撮る本数を指定した形にすると断られない。

  • 止まるのは意欲の問題ではなく、1人に4役が乗っている構造の問題
  • 役割を決める/集める/作るに3分割する。編集は外に出してよい
  • ネタは毎回考えない。型を15個決めて回す
  • 撮影は月1回まとめ撮り。1回で1か月分を確保する

採用SNSでいちばん多い失敗は、炎上ではありません。止まることです。

3か月目に間隔が空き、半年で更新が消える。そのアカウントは、求職者から見ると「この会社は動いていないのかもしれない」という材料になります。何もないより悪い状態です。

そして止まった原因を「担当者のやる気」に置くと、解決策が「頑張る」になります。人を替えても、同じ場所でまた止まります。

原因は構造です。順に分解します。

止まるのは、1人に4役が乗っているから

投稿1本を出すまでに必要な仕事を分解します。

投稿1本にかかる工数の内訳
企画を考える20%
現場と調整する25%
編集する45%
確認をもらう10%

編集が最も重い。

※サンプルデータ。運用上の目安であり調査値ではありません

これを兼任1名が全部持つと、次の3つが順番に起きます。

症状 何が起きているか
属人化 その人が忙しい週は投稿が止まる。休むと完全に止まる
ネタ切れ 毎回ゼロから考えているので、10本目で尽きる
判断待ち 「これは出していいのか」で確認が発生し、返答が来ないまま流れる
要点

止まる原因を「担当者の意欲」に置くと、解決策が「頑張る」になり、必ずまた止まります。3つとも構造の問題なので、構造で解いてください。人を替えても直りません。

解き方1:役割を3つに分ける

専任を置く必要はありません。分けるだけで動きます。

決める人(1名・役職者)
出す/出さないを判断します。禁止事項が文書化されていれば、判断は数分で終わります。ここを担当者に持たせると、担当者は毎回上に確認しに行くことになり、そこで止まります。
集める人(現場に分散)
素材を撮る役です。1人が全部撮るのをやめ、店舗・部署ごとに「月1本だけ」を割り当てます。品質は編集で揃えるので、撮影は上手でなくてかまいません。
作る人(外に出してよい)
編集は最も時間を食い、かつ社外でも代替できる唯一の工程です。ここを内製すると担当者の時間が消えます。予算が足りないときは本数を減らして、外注は維持してください。
注意

逆にやってはいけないのは、企画と現場調整を外注することです。何を撮るべきかと、誰に頼めるかは社内にしか分かりません。ここを外に出すと、当たり障りのない内容になり、社員が「うちの会社の話じゃない」と感じて協力が止まります。

解き方2:ネタは毎回考えない。型を15個決める

「ネタ切れ」の正体は、素材がないことではありません。毎回ゼロから考えていることです。 型を決めて上から回してください。1つの型は繰り返し使えます。

# ネタの型 なぜ効くか
1 1日の流れ(出勤〜退勤) 求職者が最も知りたい。時間の使い方が分かる
2 入社1年目が任されている仕事 「自分が入ったらどうなるか」に直結
3 よく聞かれる質問への回答 面接で毎回説明していることがそのまま使える
4 道具・設備・作業環境 現場職では条件そのもの。撮りやすい
5 未経験から入った人の最初の3か月 応募の障壁を直接下げる
6 先輩と後輩の関係が分かる場面 人間関係は求人票に書けない情報
7 繁忙期のリアル(都合の悪いことを含む) 辞退と早期離職を減らす
8 社内の言葉・専門用語の解説 業界の理解が浅い層に届く
9 手仕事・技術のクローズアップ 音と手元だけで成立する。顔出し不要
10 制服・身だしなみのルール 検索される割に、どこにも書かれていない
11 休憩・まかない・福利厚生の実際 条件面の裏取りとして見られる
12 評価・昇給の考え方(数字は出さない) 長く働けるかの判断材料
13 入社を決めた理由(本人の言葉) 説得力が最も高い
14 辞めた人が言っていたこと(改善したこと) 誠実さが伝わる。他社が絶対にやらない
15 会社が今やろうとしていること 経営の言葉。ミスマッチを減らす

9番は顔出しが難しい業種の突破口です。 手元・道具・音だけで、働く様子は十分に伝わります。出演の同意を取る負担がなく、続けやすい型でもあります。

ネタ設計を1回で終わらせる手順(60分)
  • 上の15個を印刷して、自社で撮れるものに丸をつける
  • 丸をつけた型に、実名の担当者と場所を書き込む
  • 12か月分のカレンダーに割り当てる(週1本なら48本=各型を3〜4回使う)
  • 撮れないと分かった型は消す。無理に埋めない
  • この1枚を、決める人・集める人・作る人の全員に配る

これで「今月何を撮るか」の会議が消えます。

解き方3:撮影は月1回のまとめ撮り

週1本のために週1回現場に行くと、調整コストで潰れます。月1回、半日で1か月分を撮ってください。

時間 やること
0:00〜0:15 その日撮る4本の内容を口頭で共有(台本は作らない)
0:15〜1:30 撮影。1本あたり15分以内。撮り直しは1回まで
1:30〜2:00 素材をまとめて編集担当へ渡す

撮り直しを1回に限るのが要点です。完成度を上げるほど、現場の負担が上がり、次から断られます。 採用SNSに必要なのは完成度ではなく、実際の様子です。

現場に頼むのは、この3つの数字だけ

15

現場の拘束時間(月1回のまとめ撮り)

carasu の整理

1

撮り直しの上限。完成度を上げると次から断られる

4

1回の撮影で確保する本数(=1か月分)

現場に断られない依頼文

「協力してください」は、判断と工数を相手に渡す言い方なので断られます。指定してください。

◯月◯日(◯)14:00〜14:15、△△店のバックヤードで、スマホで4本だけ撮らせてください。
内容は「1日の流れ」「よく聞かれる質問への回答」の2種類で、台本はありません。普段どおりに作業しているところを撮ります。
顧客が写る場所では撮りません。出演は◯◯さんにお願いしたいのですが、難しければ手元だけでも成立します。
編集はこちらで行い、公開前に必ずご本人に確認いただきます。 現場への依頼文の型

含めているのは5つです。日時・場所・所要時間・本数・確認の約束。 このうち「所要時間」と「公開前に本人が確認できること」が、承諾率をいちばん上げます。

現場は撮影が嫌なのではありません。
いつ終わるか分からないことと、勝手に公開されることが嫌なのです。

まとめ

  • 止まるのは意欲ではなく、1人に4役が乗っている構造のせい
  • 役割を「決める/集める/作る」に3分割する。編集は外に出す
  • 企画と現場調整は外注しない。ここは社内にしか分からない
  • ネタは型15個を回す。毎回考えるのをやめる
  • 撮影は月1回まとめ撮り。撮り直しは1回まで
  • 依頼は日時・場所・所要時間・本数・確認の約束を指定する

続く体制ができたあとに何を測るかは、柱記事にまとめています。

よくある質問

投稿は週何本必要ですか。
本数の正解はありませんが、続けられる本数が正解です。週1本を12か月続けたアカウントは、週3本を2か月で止めたアカウントより確実に効きます。求職者はプロフィールと直近の数本で判断するため、量より「直近1か月に動いている形跡があるか」が重要です。まず週1本で設計してください。
ネタが思いつきません。何から撮ればいいですか。
毎回考えるのをやめてください。この記事の「ネタの型15個」を貼って、上から順に回すだけで足ります。最初に撮るなら「1日の流れ」「入社1年目の仕事」「よく聞かれる質問への回答」の3つです。この3つは求職者が最も知りたいことで、かつ社内の許可が取りやすい題材です。
現場が撮影に協力してくれません。
依頼の形が原因です。「協力してください」は判断と工数を現場に渡す言い方なので断られます。日時・場所・所要時間・撮る本数・誰が来るかを指定し、拘束時間を15分以内にしてください。加えて、撮った素材がどこに出るかを事前に見せると通ります。
編集を外注すると費用がかかります。内製すべきですか。
編集は最初に外へ出すべき工程です。企画と撮影は社内にしかできませんが、編集は代替可能で、しかも最も時間を食います。担当者の工数を編集に使うと、企画と現場調整が止まります。予算が限られる場合は、本数を減らして外注を維持するほうが続きます。
Sources 出典
  1. SNS採用が続かない・ネタ切れ・属人化(リソースクリエイション/inrevo/HR NOTE) https://hrnote.jp/contents/saiyo-sns-matsumoto-20210714/
  2. 採用課題ランキング(Bellwether/キャリタス 緊急企業調査) https://www.career-tasu.co.jp/press_release/12383/
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