応募が来ないのではない。見に来て、何もないまま帰られている
「今月、何人採れそう?」に根拠のある数字で答えられない。媒体にも出した。それでも来ない。原因を給料や知名度で説明してしまうと、そこで打ち手が止まります。別の説明をします。
- 媒体に出しているのに応募が来ない。来ても選考が進まない
- 「うちは給料が安いから」「知名度がないから」で説明が止まっている
- 上司に「SNSは効くのか」と聞かれて、数字で答えられない
この3つに心当たりがあるなら、原因は待遇や知名度より前の段階にあります。
求職者の59.6%がSNSで情報を集めている一方、新卒採用でSNSを活用している企業は3割弱。この差は予算不足では説明できない。実際の原因は、担当者が兼任で手が足りないこと、ブランドを崩すのが怖くて動けないこと、効果の測り方を知らないこと、そして「SNS採用=バズること」だと誤解していることの4つ。順番は「決める→整える→出す」で、投稿を増やすのは最後でいい。
- 求職者は見に来ている。企業の7割は、見に来た人に渡すものを置いていない
- 止まっている原因のうち3つは予算ではなく設計の問題(=今日から動かせる)
- 最大の誤解は「バズらせること」。必要なのは調べられたときに選ばれる状態
- 順番は「決める→整える→出す」。禁止事項を先に決めると止まらない
「今月、何人採れそう?」
この質問に、根拠のある数字で答えられている採用担当者は多くありません。媒体には出している。エージェントにも声をかけた。それでも来ない。来ても、選考が進まない。
そして原因を「うちは給料が安いから」「知名度がないから」で説明してしまうと、そこで打ち手が止まります。 給料も知名度も、担当者が今月変えられるものではないからです。
別の説明をします。
応募が来ていないのではありません。見に来た人が、何もないまま帰っています。そしてこれは、来月から変えられます。
新卒採用でSNSを活用していない企業
活用しているのは3割弱。いっぽうで、就職活動にSNSを使って情報収集する学生は59.6%(25卒)。
※二次情報。一次調査で確認のうえ使用
出典1(二次情報)
- 数字
- 新卒採用でSNSを活用している企業:3割弱 / 就職活動でSNSを使って情報収集する学生(25卒):59.6%
- 出どころ
- Wantedly HiringGeek および ONE の記事(出典1)。いずれも二次情報です。
- 確認状況
- 一次調査(調査主体・対象・n数・調査時期)は確認中。この記事の主張の背骨にあたる数字なので、稟議に使う前に一次資料をご確認ください※1
- 読み方
- 「3割弱」は幅のある表現です。厳密な比率が必要な場面では、自社の業界・企業規模に近い調査を別途探してください
※1 このメディアでは、二次情報を一次情報のように見せない方針を採っています。数字の確認状況は記事ごとに管理しています。
求職者は、社名を知った直後にSNSで検索します。そこで何も出てこない、あるいは最終更新が半年前で止まっている。その時点で、比較の対象から静かに外れます。落ちた理由が担当者に伝わらないので、この失点は集計に出てきません。
ソーシャルリクルーティングとは何か
言葉の整理を先にしておきます。ここを曖昧にしたまま社内で議論すると、「求人媒体をやめる話」だと誤解されます。
だから両者は代替関係ではありません。媒体で見つけて、SNSで確かめる。この順番でつながります。
つまりSNSは、媒体の代わりではなく媒体の効率を決める後工程です。ここが空だと、媒体にいくら払っても取りこぼします。
求職者はどこを見ているか
「SNSで情報収集」とひとくちに言っても、媒体ごとに役割が違います。利用率だけを見るとLINEとYouTubeが高く出ますが、採用で意味があるのは「会社を調べるのに使われているか」のほうです。
「若い人はTikTokだから」でTikTokから始めるのは順番が違います。会社を調べるのに使われているのはYouTubeとInstagramです。
出典3。棒の長さは実数値に対応しています。
参考に、Z世代全体のSNS利用率はYouTube 86.1%、LINE 85.8%、Instagram 71.6%、X 66.8%、TikTok 52.8%(出典2)。使っている率と、会社を調べるのに使う率は別の数字です。 ここを混ぜると媒体選びを間違えます。
まず整えるのは「調べられる場所」(Instagram・YouTube)。「知ってもらう場所」(TikTok・リール)は後から足します。逆順にすると、興味を持った人の着地点がないまま広告費を使うことになります。
求職者が見るのは、次の3か所だけです。ここに何を置くかで結果が変わります。
| 見られる場所 | 求職者が確かめていること | 置いていないと起きること |
|---|---|---|
| プロフィール(最初の1〜2行) | 何の会社か。どこにあるか | 業種が分からず、それ以上進まない |
| 固定表示・直近の数本 | どんな人が働いているか | 「人が見えない会社」として比較から外れる |
| リンク先 | 募集要項と応募方法 | 会社トップに送られ、探す前に離脱する |
| 最終更新日 | いま動いている会社か | 半年前で止まっていると「止まった会社」に見える |
4行目が意外に重い。 本数の話ではなく、動いている証拠の話です。
なぜ5年経っても埋まらないのか
このギャップは新しい発見ではありません。何年も指摘され続けていて、それでも埋まっていない。現場で聞くと、理由はだいたいこの4つに収まります。
4つのうち、1番以外は予算の問題ではありません。 つまり3つは今日から動かせます。
埋める順番は「決める→整える→出す」
多くの会社が「出す」から始めて止まります。順番を逆にしてください。
| 段階 | やること | 所要 | 費用 |
|---|---|---|---|
| ① 決める | 誰に何を伝えるか、何は絶対にやらないか(禁止事項)を1枚にする | 半日 | 0円 |
| ② 整える | プロフィール・固定表示・求人ページへの導線を作り切る | 1〜2週間 | 0円 |
| ③ 出す | 直近数本を、決めたトーンで積む | 継続 | 発生する |
①の「絶対にやらないこと」を先に決めるのが要点です。禁止事項が決まっていない状態で現場に撮影を頼むと、判断の責任が現場に降ります。 そして現場は、責任を負いたくないので撮らなくなります。
「まず3か月やってみて、様子を見て決めましょう」は、ほぼ必ず止まります。決めていないものは判断のたびに会議が必要になり、その会議が入らないと投稿が止まるためです。決めるのを先にしてください。半日で足ります。
埋まると、どの数字が先に動くか
SNSを整えて動くのは、応募数だけではありません。しかも動く順番があります。
- 面談で「見ました」と言われた件数
- プロフィールから求人ページへ進んだ割合
- 面接で会社説明に使う時間(短くなる)
- 応募数
- 採用単価
- 内定辞退率
- 入社後3か月の定着率
左を報告しないまま3か月目を迎えると「まだ応募が増えていない」で止まります。報告する数字は、始める前に決めてください。
3か月目の報告で採用単価を聞かれても答えられません。だから始める前に「3か月で報告するのはこれです」と宣言しておく必要があります。ここを飛ばした施策は、正しくやっていても引き返すことになります。
いま採り合いは強まる側に動いている
最後に前提をひとつ。有効求人倍率は1.18倍(2026年4月・出典5)で、正社員を採用する予定の企業は3年ぶりに増えています。待っていても楽にはなりません。
問題は、見に来た人に渡すものがあるかどうかだけです。
まとめ
- 求職者の約6割はSNSで会社を調べている。企業側は3割弱しか置いていない
- 落ちた理由は担当者に伝わらないので、この失点は集計に出てこない
- 止まっている原因は4つ。うち3つは予算ではなく設計の問題
- 会社を調べるのに使われているのはYouTubeとInstagram。TikTokは知らせる側
- 順番は「決める→整える→出す」。禁止事項を先に決めると止まらない
- 3か月で報告する数字を、始める前に宣言しておく
何を決め、何を整えるかの具体は、柱記事にまとめています。
よくある質問
ソーシャルリクルーティングとは何ですか。
SNS採用は本当に効果があるのですか。
何人体制で始めればいいですか。
求人媒体をやめてSNSに移すべきですか。
- ソーシャルリクルーティングの活用状況(Wantedly HiringGeek/ONE) https://www.wantedly.com/hiringeek/recruit/social_recruiting2/(二次情報。企業3割弱・学生59.6%は主張の核なので一次調査で確認のうえ使用)
- Z世代のSNS利用率(サイバーエージェント次世代生活研究所) https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=32772
- 就職活動における情報収集の実態(トガル株式会社) https://togaru.co.jp/contents/2662/
- 中途採用状況調査2026年版(マイナビキャリアリサーチLab) https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260327_109053/
- 一般職業紹介状況(厚生労働省)/労働力調査(総務省統計局) https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1.html