辞退は評価で負けていません。連絡の速さで抜かれています
LINEで母集団は作れません。効くのは応募したあとです。そしていま、選考は評価より先に「連絡の速さ」で決まっています。
- 返事を用意している間に、他社の内定が出て辞退された
- 応募者からの連絡が途中で止まり、そのまま音信不通になった
- 担当者が自分の個人LINEでやり取りしている
1つ目と2つ目は連絡の形、3つ目は経路の設計で防げます。
LINEの利用率は85.8%と高いが、業界研究に使われる割合は11.3%にとどまる。つまりLINEは会社を知る場所ではなく、応募後に連絡する場所だ。内定辞退者が5割以上にのぼった企業は41.5%に達しており、辞退理由の最多は「より志望度の高い企業から内定を得たため」で49.8%。これは連絡の速さで順位が入れ替わる領域だ。24時間以内の一次返信と、次の予定を必ず明示する運用で辞退は下がる。ただし社員の個人LINEは使ってはいけない。
- LINEは母集団形成に効かない。応募後の連絡に限定して使う
- 辞退の最多理由は他社の内定。連絡が遅い会社から順に外れる
- 一次返信は24時間以内。返答できなくても「いつ返すか」を返す
- 個人LINEは使わない。公私の境界と証跡が消える
LINEを採用に使う話になると、まず「友だち追加を増やして母集団を作る」という提案が出てきます。
これはほぼ効きません。 LINEの利用率は85.8%あるのに、業界研究に使われる割合は11.3%です。ほぼ全員が使っているのに、会社を調べるためには使われていません。
LINEが効くのは、応募したあとです。そしてそこでは、他のどの手段より強く効きます。
理由は、いま選考で起きていることを見れば分かります。
いま、選考は連絡の速さで負ける
内定辞退の状況を見ます。
辞退者が5割以上にのぼった企業は41.5%。
出典1・二次経由の引用
「より志望度の高い企業から内定を得たため」が最多ということは、辞退は評価の問題である以前に順番の問題だということです。
同じ評価の2社が並んだとき、先に手続きが進んだ会社が残ります。連絡が3日空く会社は、その3日のあいだに他社で選考が1段進みます。連絡の速さは、志望度をひっくり返せる唯一の変数です。
守るのは2つだけ
連絡の回数を増やす必要はありません。むしろ増やしすぎると圧迫感になり、それ自体が辞退の理由になります。
そのまま使える連絡文の型
【今日の内容】一次面接(担当:△△)
【次の予定】選考結果を ◯月◯日(◯)までに、このLINEでご連絡します。
【次の段階】通過の場合は、現場見学(60分・平日/土曜も可)です。
【質問窓口】ご不明点は、このLINEに直接送ってください。△△が返信します(平日10〜18時)。 選考連絡の型
要素は4つです。今日の内容・次の予定(日付入り)・次の段階・質問窓口(実名)。 このうち日付と実名が効きます。「後日」「担当者より」では、応募者は待てません。
質問窓口を「採用担当まで」と書くと、質問は来ません。実名にしてください。応募者にとって、名前のない相手に質問するのは想像以上に負荷が高い行為です。ここで聞けなかった疑問が、そのまま辞退の理由になります。
だからLINEで母集団は作れません。応募したあとの連絡に限定して使ってください。
出典3・4
社員の個人LINEを使ってはいけない
現場に近い採用では、担当者が自分のLINEでやり取りしてしまうことがあります。速いので、善意で起きます。それでも使ってはいけません。
| 起きること | 影響 |
|---|---|
| 担当者の私的な連絡先が応募者に残る | 退職後・不採用後も連絡が可能な状態が続く |
| やり取りの記録が会社に残らない | トラブル時に何を伝えたか確認できない |
| 担当者の退職で経路が消える | 選考中の応募者との連絡が途切れる |
| 夜間・休日にやり取りが発生する | 双方の負担。労務上の問題にもなる |
| 距離が近づきすぎる | 不採用時の関係悪化、ハラスメントの疑いの温床 |
公式アカウントか、採用管理ツール経由にしてください。速さは運用ルールで作るもので、私的な連絡先で作るものではありません。
| 経路 | 記録が会社に残るか | 担当者が辞めたとき | 費用 | 速さ |
|---|---|---|---|---|
| LINE公式アカウント | 残る | 引き継げる | 無料枠あり | 速い |
| 採用管理ツール経由 | 残る(選考履歴と紐づく) | 引き継げる | 月額が発生 | やや遅い |
| 担当者の個人LINE | 残らない | 経路が消える | 0円 | 最も速い |
「0円で最も速い」ものが、いちばん高くつきます。 記録が残らない状態でトラブルが起きると、何を伝えたか確認できません。
辞退しやすくすると、辞退が減る
最後に、直感に反する話をひとつ。
言いにくさを取り除くと、辞退は減ります。
辞退を言い出しにくい状態にすると、応募者は連絡を避け、返信が止まり、結果として辞退が音信不通という形で起きます。 そのあいだ会社は枠を埋められません。
先に「一言で大丈夫」と伝えておくと、迷っている段階で相談が来るようになります。相談の段階なら、まだ引き止められます。
- 1日に2回以上送る(催促と受け取られる)
- 21時以降・休日に送る(予約送信を使う)
- 絵文字とスタンプで距離を詰める(会社としての連絡である前提を崩さない)
- 自動応答だけで完結させる(質問に答えられないと信用を失う)
- 不採用の連絡を送らない(沈黙で伝えるのは最も評判を落とす)
まとめ
- LINEは母集団形成に効かない(業界研究での利用は11.3%)
- 効くのは応募後。辞退の最多理由は他社の内定=順番の勝負
- 一次返信は24時間以内。内容が未定でも「いつ返すか」を返す
- 毎回、次の予定を日付で書く。質問窓口は実名にする
- 社員の個人LINEは使わない。記録も境界も残らない
- 「辞退は一言で大丈夫」を先に伝えると、辞退が減る
辞退防止の全体設計は、関連記事にまとめています。
よくある質問
LINEで応募者を集められますか。
選考の連絡は何時間以内に返すべきですか。
社員の個人LINEでやり取りしてもいいですか。
辞退を防ぐために、連絡を増やすべきですか。
- 内定(内々定)辞退率の動向と辞退理由(マイナビキャリアリサーチLab) https://career-research.mynavi.jp/column/20260316_108862/
- 就活生意識調査(No Company/PR TIMES) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000049.000089446.html(二次情報。月給ラインと面接官の態度に関する調査)
- Z世代のSNS利用率(サイバーエージェント次世代生活研究所) https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=32772
- 業界研究に使うSNSの利用率(トガル株式会社) https://togaru.co.jp/contents/2662/