採用・SNS
応募が来ないのではない。見に来て、何もないまま帰られている
求職者は、すでに見に来ている。渡すものを置けば、来月から変えられる。
更新 2026.09.30読了目安 約8分
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この記事の結論30秒で分かります
- OfferBox登録の25卒学生を対象とした調査では、59.6%が就活でSNSを使って情報収集していました。
- SNS採用は求人媒体の代わりではなく、媒体で見つけた会社を確かめてもらうための後工程です。
- 始める順番は「決める→整える→出す」。3か月で報告する指標も最初に決めます。
「今月、何人採れそう?」に根拠のある数字で答えられますか
媒体には出している。エージェントにも声をかけた。それでも来ない。来ても、選考が進まない。原因を「うちは給料が安いから」「知名度がないから」で説明すると、そこで打ち手が止まります。給料も知名度も、担当者が今月変えられるものではないからです。
別の説明があります。応募が来ていないのではなく、見に来た人が何もないまま帰っている。そしてこれは、来月から変えられます。
| 調査対象 | 結果 | 調査条件 |
|---|---|---|
| OfferBox登録の25卒学生 | 59.6%が就活でSNSを活用して情報収集 | i-plug/インターネット調査/2024年2月1〜3日/n=1,031 |
| 新卒採用を実施する企業 | 28.6%が新卒採用でSNSを活用 | i-plug/インターネット調査/2024年1月24〜29日/n=259 |
この調査は全国の学生・企業を無作為抽出したものではありません。記事では、調査対象を超えて「すべての学生」「すべての企業」とは一般化しません。
求職者は社名を知った直後にSNSで検索します。何も出てこない、あるいは最終更新が半年前で止まっている。その時点で比較の対象から静かに外れます。落ちた理由が担当者に伝わらないため、この失点は集計に出てきません。
ソーシャルリクルーティングとは何か
SNS(Instagram・TikTok・YouTube・X・LINEなど)を使って求職者に自社を知らせ、応募・入社・定着までをつなぐ採用手法です。求人媒体が「募集要項を並べる場所」であるのに対して、SNSは「働いている状態を見せる場所」として機能します。
両者は代替関係ではありません。媒体で見つけて、SNSで確かめる。SNSは媒体の代わりではなく、媒体の効率を決める後工程です。

利用率ではなく、
会社を調べるのに使われる場所を見る。
会社を調べる行動に寄り添う媒体から、
先に整えます。
業界研究で使われるSNS
利用率だけを見るとLINEとYouTubeが高く出ます。しかし採用で見るべきなのは、「会社を調べるのに使われているか」です。出典3の調査では、業界研究のためにSNSを活用したことがあるZ世代は55.7%でした。
| SNS | 業界研究での利用 |
|---|---|
| X | 38.7% |
| YouTube | 27.4% |
| 25.5% | |
| TikTok | 11.3% |
| LINE | 11.3% |
「若い人はTikTokだから」で始めるのは順番が違います。まず整えるのは、調べられる場所。知ってもらうためのTikTokやリールは、その後に足します。
| 見られる場所 | 求職者が確かめていること | 置いていないと起きること |
|---|---|---|
| プロフィール(最初の1〜2行) | 何の会社か、どこにあるか | 業種が分からず進まない |
| 固定表示・直近の数本 | どんな人が働いているか | 「人が見えない会社」として比較から外れる |
| リンク先 | 募集要項と応募方法 | 会社トップに送られ、探す前に離脱する |
| 最終更新日 | いま動いている会社か | 半年前で止まっていると「止まった会社」に見える |

止まっている理由は、
予算だけではない。
現場にある4つの障壁を分けると、
今日から動かせることが見えてきます。
なぜ5年経っても埋まらないのか
- 01担当者が兼任で、手が足りない企画・撮影・編集・投稿まで抱えると、どこかが止まります。
- 02ブランドを崩すのが怖くて動けない「やらない」ではなく、崩さない設計で出します。
- 03効果の測り方を知らないフォロワー数・再生数だけでなく、遷移率・採用単価・辞退率を見ます。
- 04「SNS採用=バズること」だと思っている求職者が必要としているのは、入る前に知っておきたかった情報です。
4つのうち、予算が直接必要になるのは1番です。残る3つは設計の問題です。社風と関係のない企画でバズを狙うより、働く人、1日の流れ、職場の環境を伝えるほうが、比較のための情報になります。

順番は
「決める→整える→出す」。
投稿を増やすのは最後です。
最初に、現場が迷わない設計をつくります。
多くの会社は「出す」から始めて止まる
| 段階 | やること | 所要 | 費用 |
|---|---|---|---|
| ① 決める | 誰に何を伝えるか、何は絶対にやらないかを1枚にする | 半日 | 0円 |
| ② 整える | プロフィール・固定表示・求人ページへの導線を作り切る | 1〜2週間 | 0円 |
| ③ 出す | 直近数本を、決めたトーンで積む | 継続 | 発生する |
要点は、①の「絶対にやらないこと」を先に決めることです。禁止事項がないまま現場に撮影を頼むと、判断の責任が現場に降ります。責任を負いたくないため、撮影も投稿も止まります。
「まず3か月やってみて、様子を見て決める」ではなく、決めてから始めます。判断のたびに会議が必要な運用は、会議が入らない月に止まります。

応募数より先に、
動く数字がある。
3か月で何を報告するかを、
始める前に宣言します。
先に動く指標と、あとから動く指標
| 3か月以内に動く | 6〜12か月かけて動く |
|---|---|
| 面談で「見ました」と言われた件数 | 応募数 |
| プロフィールから求人ページへ進んだ割合 | 採用単価 |
| 面接で会社説明に使う時間 | 内定辞退率 |
| — | 入社後3か月の定着率 |
左の数字を報告しないまま3か月目を迎えると、「まだ応募が増えていない」で止まります。採用単価はすぐには答えられません。だから始める前に、「3か月で報告するのはこれです」と宣言しておく必要があります。
いま採り合いは強まる側に動いている
厚生労働省によると、2026年7月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月と同水準でした。この全国値だけでは、職種・地域ごとの採用難易度や個社の状況までは分かりません。自社の採用職種ごとの応募状況も確認し、必要な施策を検討しましょう。
SUMMARY
まとめ
- 求職者は見に来ています。判断材料がなければ、その理由は担当者に伝わらないまま比較から外れます。
- 会社を調べる行動で使われる場所を先に整え、知ってもらう発信は後から足します。
- 止まる原因の多くは、予算ではなく運用設計です。
- 順番は「決める→整える→出す」。禁止事項と3か月の報告指標を先に決めます。
出典
- 株式会社i-plug「就職活動におけるSNSの活用状況に関する調査」(2024年2月公表。学生 n=1,031、企業 n=259)
- サイバーエージェント次世代生活研究所「2025年Z世代のSNS利用率」
- トガル株式会社「Z世代がSNSを活用して行う就職活動に関する調査」
- 厚生労働省「一般職業紹介状況」
FAQ
よくある質問
ソーシャルリクルーティングとは何ですか。
SNSを使って求職者に自社を知らせ、応募から入社・定着までをつなぐ採用手法です。求人媒体が募集要項を並べる場所であるのに対して、SNSは実際に働いている状態を見せる場所として機能します。両者は代替関係ではなく、求人媒体で見つけた会社をSNSで確かめられる順番でつながります。
SNS採用は本当に効果があるのですか。
応募数だけで判断すると企業ごとの差は出ますが、調べられたときに判断材料があるかどうかは全社共通の課題です。効果を疑う前に、比較の場に出ているか、プロフィール・直近の投稿・求人への導線が整っているかを確認してください。
何人体制で始めればいいですか。
専任1名は必須ではありません。ただし、決める人と素材を集める人は分けます。決裁を1名、撮影・収集を現場に分散、編集を外部という3分割にすると、判断待ちと素材切れで止まりにくくなります。
求人媒体をやめてSNSに移すべきですか。
やめないでください。求人媒体は探している人に見つけてもらう機能、SNSは見つけた人に確かめてもらう機能で、役割が違います。予算を移すなら、まず掲載を維持したままSNS側に少額を足し、3か月間の指標を測ります。
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応募が来ていないのではない。
見に来た人が、帰っている。
待遇や知名度の前に、調べられたときの
判断材料があるかを確かめます。