候補者が、理想的に見える職場と実際に働く現場をガラス越しに見比べるエディトリアルビジュアル

採用・SNS

良く見せると、応募が増えて、辞める人が増えます

応募の前に、働く実態を渡す。判断材料が、入社後のずれを減らす。

更新 2026.10.13読了目安 約8分

この記事の結論30秒で分かります

  • 令和4年3月卒の新規大卒者では、就職後3年以内の離職率が33.8%でした。ただし、離職理由をこの統計だけで特定することはできません。
  • 仕事内容、繁忙期、最初の6か月、配属、給与の仕組みを、候補者が入社前に確認できるようにします。
  • 厳しい条件は隠さず、会社がどう対処しているかを実際の数字とともに伝えます。
  • 応募数だけでなく、内定辞退率や入社後の在籍率も同じ期間で追います。
仕事内容、勤務時間、面接、配属の情報のずれを四つのガラス面で表現したビジュアル
01

「思っていたのと違う」は、
どこで生まれるのか。

入社前の説明を、
4つの場面に分けて見直します。

3年以内の離職率だけでは、原因は分からない

厚生労働省が公表した令和4年3月卒業者の就職後3年以内離職率は、新規大卒者が33.8%、新規高卒者が37.9%でした。新規大卒者のうち、宿泊業・飲食サービス業では55.4%です。いずれも同じ卒業年次の集計です。

対象就職後3年以内離職率
新規大卒者・全産業33.8%
新規高卒者・全産業37.9%
新規大卒者・宿泊業/飲食サービス業55.4%

出典は厚生労働省の令和4年3月卒業者の離職状況です。この統計は離職した理由を示すものではありません。自社の退職理由と採用時の説明を照らし合わせて初めて、直すべき点が見えてきます。

採用時に点検したい4つの場面

  1. 01仕事の中身を抽象的に伝えた「幅広い業務」だけでは、候補者が実際の1日を想像できません。
  2. 02厳しい条件を伝えなかった繁忙期の残業、土日勤務、異動、最初に任せる作業は入社後に分かります。
  3. 03会社側だけが質問した候補者の疑問が残ったまま、選考が進みます。
  4. 04配属の決まり方が不明だった多店舗・多拠点では、勤務場所や仕事内容に直結します。

この4つは、すべての離職の原因という意味ではありません。まず自社の説明に欠けている情報がないか、候補者の質問と入社後の声から確かめます。

見栄えのよい求人像から、実際の働き方が見える情報へ移る様子を表したビジュアル
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都合の悪いことも、
入社前に渡す。

応募数と入社後の在籍を、
同じ採用の成果として見ます。

効果を決めつけず、自社の数字で確かめる

仕事の良い面だけを強調すれば、応募の入口は広がるかもしれません。ただ、入社後に初めて知る条件が多ければ、候補者は入社前に適合を判断できません。反対に、厳しい条件まで書けば応募の仕方が変わる可能性があります。

「応募は減り、辞退と早期離職はもっと減る」という効果の大きさは、この原稿で示せる調査結果ではありません。施策を始めるなら、変更前後の応募数、内定辞退率、入社後3か月の在籍率を同じ定義で記録し、自社で判断してください。

欠点と対処を、事実で並べる

厳しい条件を単独で並べるのではなく、会社が実際にどう対処しているかまで示します。次は書き方の例です。月数や時間は架空の例であり、自社の数字に置き換えて使います。

曖昧な書き方事実と対処を示す書き方の例
「繁忙期は残業が多い」「繁忙期の7〜9月は、残業が月30時間程度。閑散期は定時退社が基本で、連休を取りやすくしています」
「幅広い業務を経験できる」「最初の6か月は準備と片付けが中心。担当業務は習熟を確認してから任せます」
「転勤の可能性あり」「異動の頻度と対象エリアを示し、引っ越しが必要な場合の補助制度も説明します」

「多い」「少ない」だけでは、候補者は自分の生活と照らして判断できません。数字がない項目も、時期、対象、決め方を具体的にします。対処していないことを、あるように書かないことも大切です。

勤務時間や勤務地を示す資料と実際の職場を候補者が見比べるビジュアル
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開示するのは、
この5項目。

募集要項の言葉を、
働く日の実態へ近づけます。

候補者が判断できる情報に変える

  1. 011日の実際の時間の流れ始業から終業まで。休憩と移動も含めます。
  2. 02繁忙期の実態忙しい時期と、その間の労働時間を示します。
  3. 03最初の6か月に任せる仕事できることだけでなく、まだ任せないことも書きます。
  4. 04配属の決まり方いつ、誰が、何を見て決めるか。希望の扱いも伝えます。
  5. 05給与の仕組み何が積み上がり、いつ、どの条件で上がるかを示します。

特に配属は、候補者の通勤や生活を左右します。入社時点で配属先が未定なら、その事実に加えていつまでに決まり、誰が決め、希望をどこまで考慮するかを説明します。

求人票、採用サイト、面接で説明が食い違わないよう、同じ資料を基準に更新します。実際の勤務記録や配属ルールが変われば、求人の説明も直します。

候補者と採用担当者が向かい合い、互いの話を聞く面接のビジュアル
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面接は、
候補者も確かめる場。

答えにくい質問ほど、
事実を確認して返します。

質問の時間を最初から確保する

面接の最後に、候補者が質問できる時間を予定に入れます。原稿が提案する15分を目安に、仕事内容や働く条件について聞き切れるかを見て調整してください。短い時間だけを残して「質問はありますか」と聞いても、重要な疑問が出ないことがあります。

聞かれたこと確認して伝えること避けたい答え
離職率はどのくらいですか対象期間と集計範囲を添えた自社の数字「人によりますね」
残業は実際どのくらいですか月平均と繁忙期の実績「アットホームなので大丈夫です」
前任者はなぜ辞めたのですか個人情報を守り、共有できる範囲の事実質問したことを責める返答
入社して後悔した人はいますか把握している声と、改善したこと「入ってみないと分かりません」

その場で正確に答えられない質問は、曖昧に埋めずに持ち帰ります。誰が確認し、いつ返すかを約束して、同じ経路で回答します。

まとめ

  • 令和4年3月卒の新規大卒者の3年以内離職率は33.8%。この統計は離職理由を示すものではありません。
  • 採用時の説明では、仕事内容、厳しい条件、質問の機会、配属の決まり方を点検します。
  • 厳しい条件は、実際の数字と会社の対処を並べて伝えます。
  • 求人で開示する5項目のうち、配属の決まり方も忘れずに説明します。
  • 応募数だけでなく、内定辞退率と入社後の在籍率を併せて測ります。

選考中の連絡については、辞退を減らす連絡の設計も参考にしてください。

出典

  1. 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(2025年10月24日公表。新規大卒33.8%、新規高卒37.9%、新規大卒の宿泊業・飲食サービス業55.4%)
  2. 厚生労働省「新規学卒者の離職状況」(集計方法の説明)

よくある質問

採用のミスマッチはなぜ起きるのですか。

一因は、候補者が入社前に仕事内容や働く条件を具体的に確かめられないことです。仕事の説明が抽象的、厳しい条件が伏せられている、質問しづらい、配属の決まり方が不明といった場面を点検してください。離職には他の要因もあるため、退職理由を併せて確認する必要があります。

都合の悪いことを書くと応募が減りませんか。

応募数が変わる可能性はあります。一方、事前に条件を理解した人が応募できる利点もあります。辞退率や早期離職率がどれだけ変わるかは企業ごとに検証が必要です。応募数に加え、内定辞退率と入社後3か月の在籍率を同じ条件で追いましょう。

求人で厳しい条件はどう書けばいいですか。

事実を数字や時期で示し、会社が実際に行っている対処を隣に書きます。たとえば繁忙期の残業時間を示したうえで、閑散期の勤務や休み方を説明します。例文の数字をそのまま使わず、自社の記録を確認してください。

面接でも働く実態を伝えるべきですか。

はい。候補者が仕事や配属、残業、評価について質問できる時間を設け、分かる範囲を事実で答えます。すぐに答えられない内容は確認する担当者と回答日を伝えてください。